見えないこだわりをカタチに。カメラ型フォトフレーム制作の舞台裏
こんにちは。
カメラ型フォトフレームを中心に、木とフェイクレザーを組み合わせた作品を制作しているBestMemoryです。
今回は、普段あまり表には出ない「制作の裏側」についてご紹介したいと思います。
完成した作品を見て「可愛い!」「丁寧!」と感じてもらえることは、作家として本当に嬉しいこと。
でもその裏には、時間と根気のいる、細かい作業の積み重ねがあります。
この記事では、特に時間をかけている「木の磨き」「フェイクレザーとの面合わせ」「はめ合い調整」の3つのこだわりについて、作り手の目線でお話しします。
木を磨くだけで、5工程。—— 実は一番時間がかかる作業です
私の作品に使っているのは、ホワイトウッドという比較的柔らかい木材です。
柔らかいぶん加工しやすい反面、ちょっとした傷や段差が目立ちやすいため、仕上がりを大きく左右します。
そのため、“磨き”だけで5つの工程をかけています。
① ベルトサンダーで角を大まかに削る
まずはベルトサンダーで木の角やエッジをざっくりと落とします。
トゲや尖りが残っていると危険ですし、角が立ちすぎていると優しい印象になりません。
② 板ペーパーで平らな面をならす
続いて、板状のサンドペーパーを使って広い面を均一に磨きます。
ここで小傷や凹凸をならしていくことで、全体の質感が上がります。
③ 小型ベルトサンダーで曲線部を整える
角を丸めたり、細かい曲線部分は小型のベルトサンダーで丁寧に削ります。
力加減ひとつで削れすぎてしまうため、集中力が必要です。
④ ランダムサンダーで木口を整える

木口(切り口)は毛羽立ちやすく、触るとチクチクすることも。
ランダムサンダーで優しく滑らかに整えます。
⑤ クッション付き板ペーパーで仕上げ磨き
最後に、柔らかいクッション付きのペーパーで全体を撫でるように仕上げていきます。
指先で感触を確かめながら「これでOK」と思えるまで磨き上げます。
フェイクレザーと木の“面合わせ”に命をかけています
木とフェイクレザーを貼るだけ——では終わりません。
私がこだわっているのは、木とフェイクレザーの境目に段差が出ないよう“面一(つらいち)”に仕上げること。
たった0.5mmの出っ張りや凹みでも、見た目の印象は大きく変わります。
フェイクレザーが飛び出していれば粗く見えるし、凹んでいれば歪んで見えます。
だから私は、貼る前に木の溝を浅く削って、フェイクレザーがぴったり収まるように加工しています。
貼った後も、指で何度もなぞって確認し、少しでも段差があれば再調整。
自己満足のように見えるかもしれませんが、こういった細部の積み重ねが作品の完成度を高めてくれると信じています。
はめ合い調整はまさに職人の勘
私のフォトフレームは、裏板をフックで留めるのではなく、“凸と凹のはめ合わせ”だけで構成されたシンプルな構造です。
その代わり、この調整がものすごくシビア。
ほんの0.1〜0.2mmの差で、キツすぎて入らなかったり、ゆるすぎてすぐ抜けてしまったりします。
だから、最終工程では何度も試しはめをして、紙ヤスリで少しずつ削っていきます。
“気持ちよくカチッと入る”——その感覚にたどり着くまでが、作家としての腕の見せどころ。
こればかりは経験と感覚で調整している、まさに「職人の勘」が頼りの工程です。
さいごに
作品を手に取ってくださった方から、
「とても丁寧に作られているのがわかる」
「触ったときのなめらかさに感動しました」
そんな声をいただけると、本当にうれしく思います。
木を磨き、フェイクレザーを合わせ、はめ合いを調整する。
どれも地味で時間がかかる作業ですが、それが私の“作品への想い”をカタチにする手段です。
これからも、手に取ったときにふっと笑顔になれるような作品を、ひとつひとつ丁寧に作っていきたいと思っています。


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